米国公認会計士(USCPA)の実務未経験者が海外就職に失敗した話【タイ/バンコク】

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2018年1月、タイ(バンコク)に渡り、海外就職に挑戦して、失敗した話を記事にします。

2016年12月シンガポールでの海外就職の挫折に続き、これが2度目の海外就職の失敗となりました(泣)

個人的な備忘録として、海外就職に関しての経験を書き綴りたいと思いますので、海外就職に興味がある方(海外就職の失敗談に興味のある方)は是非ご一読ください。

はじめに

海外就職を志した理由

大手IT企業の職を辞して、海外就職をした理由は以下のような理由です。

  1. 英語を使う環境に身を置きたい
  2. 多種多様な文化・バックグラウンドを持った人の中で、様々な業務を経験してみたい(日本以外で生活・働いてみたい)
  3. 30歳手前独身であり、身軽な今が絶好のチャンスだと思った

経緯

シンガポールでの海外就職失敗

2016年、システムエンジニア(SE)として、新卒で大手SIerに入社し、4年目に会社を辞めて、フィリピンへ留学をした。

フィリピン留学4ヶ月目に、シンガポールに渡り、SEとして転職活動をするも、就労ビザの難化の影響もあり、見事、シンガポールでの転職活動は失敗(泣)

※詳細には、自己紹介の記事を参照ください

USCPAへの挑戦

以下の理由から、USCPAの学習を開始し、2017年末に4科目合格を果たす。

  • 特定の専門領域を持つ(会計)
  • ビジネスレベルの英語を身につける

タイ(バンコク)での海外就職(←今回の記事の内容はここ)

IT × 英語 × 会計の3つがあれば、海外で仕事が見つからないということもないし、ある程度、給与とキャリアを両立させていけるであろうと思い、再度、海外就職にチャレンジ。

前提条件

2018年1月からタイ(バンコク)に渡り、1ヶ月限定で海外就職先を探すことにしました。

海外転職開始時のスペック、海外就職の条件、利用エージェントは以下の通りです。

海外転職時の経験・資格

  • 英語力はIELTS 6.5、TOEIC 870点
  • 日本で大手IT企業で3年半のSE経験
  • IT系資格を複数保有(応用情報、ITIL v3、CCNA)
  • USCPA全科目合格
  • 現地でのコネクションなし(転職エージェントのみ)

海外就職する上での条件

現地で海外就職する上で、実際に働くかどうかの判断基準は以下の通りです。

  • 借金の返済をしながら、ある程度十分な月収を得ること(最低9万Baht)
  • 将来のキャリア構築に繋がる就職先であること
  • IT・会計領域での経験が積めること

特に、多額の借金の返済(約1,200万円)があったため、給与水準が希望に満たない場合は、日本での転職に切り替えることを視野に入れて望みました。

転職エージェント

今回、海外転職を利用する際に大きく国内エージェントを利用する場合と現地エージェントを利用する場合の大きく2つに大別されますが、僕の場合、どちらも一度登録してみて、実際に面談・スカイプ面談をしてみました。

  • 国内のエージェント:2社(アビタス、MS-JAPAN)
  • 現地エージェント:8社(GJJ海外就職デスク経由で応募 + α)

合計10社とやりとりをしたので、普通に海外就職する方と比べると、かなり多くの転職エージェントとやりとりしていたと思います。

GJJ海外就職デスクは、アジア圏で就職する際には結構有名なエージェントですので、アジアで海外就職しようとしたことある方は知っているがいるかもしれません。国内でGJJ主催のセミナーがよく開催しているので、アジア圏での海外就職に興味のある方は、一度話を聞いてみるのも良いかもしれません。

転職エージェントのキャリア診断結果(MS-JAPAN)

国内の転職エージェントを利用した際に、MS-JAPANのキャリア診断が意外に参考になったので、ご紹介します。

お世話になっております。MS-Japan ×××××と申します。
この度はお勧めキャリア診断へご応募いただきましてありがとうございます。

また、回答が遅くなりまして大変申し訳ございません。
ご登録頂いている情報をもとに簡易キャリア診断をさせていただきます。

<診断結果>

お勧めのキャリアは、US-CPA知識を活かした、日系・外資系の海外進出支援業務
です。

但し、ご入力いただいたキャリアデータのみでの判断になりますが、現段階でタイ(バンコク)での就業を希望されているとのことですので、 転職可能性はゼロではないものの具体的にマッチする求人数は正直多くはないこ とが予想されます。中長期的な視点で慎重に転職活動をお考え頂くことをお勧め致し ます。

現在29歳とお若く、US-CPAも全科目取得されていることもあり、コンサルティング会社や企業のグローバル進出支援をしている税理士法人等で ご評価頂けるかと思います。
ただ、今後日本での就業に切り替えられる場合は、ご年齢を気にされる企業が多い為、
できるだけ早い段階で日本での転職活動を開始されることをお勧めいたします。

ご希望勤務地がタイ(バンコク)と、他候補者の応募が殺到する案件も ございますので、急ぎ転職先を見つける必要がある場合は、応募可能な 案件については広く応募を頂くことをお勧め致します。

以上、ご転職活動の参考になれば幸いです。
引き続きよろしくお願いします。

上記のように、無料でキャリア診断ができるので、会計職で転職を将来的に検討している際にご活用ください。職歴などを入力して、簡易キャリア診断をネットから依頼するだけで簡単にできます。尚、直接、エージェントに会う必要はありません。

MS-Japan

海外就職活動の結果

今回、タイ(バンコク)で転職活動を行うに当たり、IT系企業、コンサル、会計事務所を中心に応募しました。

前職ではIT企業でSEをしていたこともあり、ITと米国公認会計士(USCPA)の会計知識を活かせるキャリアとして、ITコンサル・SEを候補として考えていました。

一方、USCPA受験開始時には、選択肢になかったのですが、会計事務所で会計領域でしっかり経験を積むという選択肢についても真剣に考え始めるようになりました。

正直に言うと、海外で実際の働いているイメージ(キャリア形成)がしっかり定まっていなかったため、とりあえず幅広く見ていこうと思い、いろんな業界・職種にも応募したといった感じです。

エージェントから紹介された求人は計24件で、ざっくりと以下のような比率でした。

IT:コンサル:経理:会計士:その他=10:2:5:4:3

条件に合う求人を中心に、10社ほど応募して、実際に面接を受けたのは4社だけでした。 

それでは、実際に、面接を受けた会社についてご紹介したいと思います。

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M社(IT企業:会計コンサルタント職)

会社概要

大手IT企業のグループ会社。親会社の名前は、IT系ではなくても日本では知らない人がいない会社です。海外拠点用の会計システムのパッケージ導入コンサルタントとしての募集。

選考結果

現地で社長、管理職、人事の3名と一次面接後に下記の通り内定。

  • プロセス:現地で面接1回 → 内定
  • 基本給月額:73,400 Baht
  • 住宅手当:5,000 Baht
  • 賞与:年2回 ※年額は基本給の1~2ヶ月程度
  • その他:英語での面接なし

内定を頂いたものの辞退しました。

希望給与水準を予め、先方に伝えていたのですが、タイ語の習得状況(タイ語が全くしゃべれない)や経理/会計システムへのコンサル経験がなかったことから、希望給与より低めでのオファーとなりました。

辞退理由

  • 給与水準が低い(差異1万THB。。。)おまけに賞与も少ない。。。
  • 会計システム(日系)のパーケージ導入経験が今後のキャリアを考えた際にメリットにならない(SAPやオラクルなどメジャーどころではない)
  • タイ人スタッフとはタイ語メインでのコミュニケーションとなる
  • 現地の日本人の中で、会計コンサルができる人材がいない
  • 会計システムの導入は、発生ベースの対応

特にタイ人の方が英語が苦手で、タイ人とのコミュニケーションはタイ語で対応している会社というのが、僕の中では完全にNGでした。

海外就職する上で、仕事上では、英語でコミュニケーションしたいというのがあり、残念ながら辞退しました。

F社(会計事務所:会計コンサルタント職)

会社概要

タイで展開している老舗の会計事務所。ポジションは会計コンサルタント。

経理・財務などについてのコンサル業務及び新規顧客の開拓、監査対応の取りまとめなど。

選考結果

Skypeにて一次面接(英語面接あり)を通過後、辞退しました。

辞退理由

  • 他の会計事務所と比べて、給与水準がやや低い(月額2万Bahtほど)
  • 会計コンサルタントというよりは、海外進出コンサルタントとしてのキャリア経験を積むことになる。
  • ITの知識を活かせる業務は皆無
  • タイ人スタッフの英語が怪しい

一番の辞退理由は、給与水準が低いからに尽きます。

月額8万Bahtで、賞与も1ヶ月程度でしたので、年収100万Baht前後(年収350万円前後)です。他の会計事務所と比べて、月額2万バーツほど低く、住宅手当もありませんでした。

現地の会計事務所について

現地の会計事務所だと、案件自体がそもそも少なく、転職活動をしているタイミングでちょうど求人を募集しているところとなると、かなり案件が限られます。

タイミングにもよるかもしれませんが、監査/経理未経験のUSCPAだと、会計事務所の中で条件がいいところにいくのが難しいというのが印象でした。

当然ですが、現地(特にアジア圏)の会計事務所における監査業務では、タイ人公認会計士が実務をして、日本人の公認会計士の方が顧客との橋渡しをすることになり、監査経験をしっかり積めるわけではありません。

未経験のUSCPAとなると、やはり監査経験がない中で、タイ人スタッフをマネジメントして、監査業務の取りまとめ、顧客対応するのはかなりハードルが高いため、好条件での待遇で探すとなると難しいです。

また、監査業務の中でリファードワーク(親会社の指示に基づき、現地法人に対して監査をやること)となると大抵Big4が案件を持っていますので、現地の中小規模の会計事務所では、海外進出、税務コンサル、記帳代行と多角的に業務運営しています。

そのため、現地の中小規模の会計事務所での業務と会計系Big4での監査業務では、大きく業務内容が異なってきていることにも注意が必要です。

N社(日系コンサル:ITコンサルタント職)

会社概要

日系コンサル会社として、有名の某社のタイ子会社。新卒の人気企業ランキングで大抵上位の100位までには必ず入っている大手企業。年収が高いことからも有名。

ポジションはITコンサルタント。プロジェクト対応、プリセールス支援、事業開発などの幅広く対応。

選考結果 

一次面接で部門長(責任者)と1対1で面接。一次面接通過後、辞退しました。

一次面では、前半は英語、後半は日本語で面接を行い、雰囲気は、この会社でよく言われる「詰める」文化を垣間見るような面接でした。所謂、圧迫面接気味です(笑)

ちなみにここで言う、圧迫面接は理由などを深く(しつこく)掘り下げる感じで、この会社の文化です。ここまで言うと、会社は特定できると思いますが・・・

英語で自己紹介している途中から、なぜそうしたんだ等、突っ込んで英語で質問が来るので、英語面接中は終始、アドリブ(英語運用能力やロジック)を試されている感じでした。

辞退理由

  • USCPAの資格自体があんまり評価されなかったため
  • 会計領域の経験が積める環境ではなかった
  • 面接がやや高圧的であり、あんまり一緒に働きたくないと感じたため

正直言って、タイのITコンサル職でこの会社以上に好待遇(月収15万Baht~)の会社はないと言えるほど素晴らしい会社です。

USCPAを受験する前の段階であれば、一度、仕事をしてみたいと思っていた会社の一つでした。

USCPAを合格してから、会計領域で絶対に経験を積みたいという思いが強くなっており、悩んだ末、辞退することにしました。

SIerやコンサルで経験を積んで、海外(タイ/バンコク)で一度働いて見たいという方は、是非、N社の選考を進まれることをオススメ致します。ちなみに面接は2回ともスカイプ面接が可能です!

K社(会計系Big4:経営コンサルタント職)

会社概要

会計系Big4の一社。このブログにお越しくださっている方なら、おわかりかと思いますが、K社です。ポジションは監査職ではなく、経営コンサルでの求人に空きがあったため、経営コンサル職の選考を受けました。

選考結果 

  1. 現地で一次面接
  2. テスト2種(Verbal+Numerical reasoning)
  3. 内々定(日本人パートナーOK → 社内調整)
  4. タイ人マネージャーと追加面接(英語) → 選考落ち

あと一歩で内定というところで、選考落ちしてしまいました。ちなみにこの会社で、内々定(社内調整)の連絡を受けた時点で、他の会社の選考は辞退してしましたので最後の一社でした。

選考落ちの理由

  • 給与水準が高く、タイ人スタッフから反発があったため
  • コンサル未経験のため、即戦力ではなく「育てる」必要があるため
  • タイ語必須のプロジェクトにアサインできないため

現地採用のアソシエイトレベル(一番下の階級)での採用に前例がなく、現地採用として「育てる」という意味で採用を検討。

同じ条件でタイ人を採用した場合、30,000~40,000 Bahtでの月給となるが、日本人現地採用の場合、70,000 Baht~の採用となるため、未経験である点を考慮すると、会社組織のバランスに影響してしまう可能性(タイ人から反発を受ける)が高いため、選考落ちとなりました。

タイ語が全くできないため、タイ語必須のプロジェクト以外に限定されると、タイ人マネージャーからすると育てるのは厳しいと判断されてしまったそうです。

正直に言って、タイ人の方との面接は、完全に落とす気(あら探し)する感じの圧迫面接でした・・・

USCPAの資格を知らないタイ人の方に、「USCPAって何だ」というところから、英語で説明をし、「前職の製品のコンセプト、導入したIT業務のプロセスについてホワイトボードに書いて、英語でプレゼンをしろ!」、「ビジネスプロセス(購買、経理など)について、ホワイトボードに書いて説明しろ!」といった感じで、人生の中で一番過酷な面接を受けました。

ちなみに、急遽タイ人のスタッフと面接を受けて欲しいと帰国直前に言われ、キャンセル可能期限を過ぎて、航空券を追加購入しなければいけなくなってしまいました。

余談ですが、日本での転職活動では、K社グループは今後一切受けないことを心に決めました。タイ現地法人と日本法人には、全く関連性がない話ですが・・・感情論です(笑)

まとめ

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上述したとおり、タイでの海外就職活動は失敗しました。

金銭的な都合もあり、海外転職は一旦断念して、日本に帰国し転職活動をすることにしました。

  • 求人紹介:24件
  • 書類応募:10件(書類選考通過:6件)
  • 一次選考:4件
  • 途中辞退:2件
  • 選考落ち:1件
  • 内定辞退:1件

バックグラウンドも人それぞれですので、一概に「USCPA未経験だとこうだ」ということはできませんが、監査/経理領域を未経験のUSCPAの場合、それなりに条件の良い海外求人は限られてくるのではないかというのが所感です。

逆に言うと、関連業務で3年ほど経験を積んでいると、海外で仕事を探す上で、USCPAの資格があれば、それほど困ることはないように感じます。

僕は完全に海外就職で、未経験USCPAとして、キャリアチェンジ(SE → 会計/経営コンサル)をしようと試みたので、思った以上に苦戦し、結果的に自分の希望する条件の会社を探すことはできませんでした。

USCPA未経験で海外で仕事をしてみたいという方は、本記事を少し参考にしていただいたら幸いです。

尚、日本での転職活動について、別記事でご紹介しますので乞うご期待!